先日、第一級陸上特殊無線技士(一陸特)の国家試験を受験しました。陸上特殊無線技士は業務用無線のプロ資格です。 試験のレベルはアマチュア無線の上級資格並みとのことで、軽い気持ちで受験申し込みをしたのですが、教本を買って見たら、なかなか・・・
ご参考まで、一陸特の国試の概要と、当局(一応一アマです)が一陸特を受験して気付いたこと・感じたことを、余談を交えて記していきます。
◆試験の概要
|
一陸特 |
(参考) 一アマ |
試験日 |
6月、10、2月
土日とは限らない |
4月、8月、12月
土曜か日曜 |
試験時間 |
無線工学 |
3時間 |
2時間30分 |
法規 |
2時間30分 |
問題数 |
無線工学 |
24問(120点満点) |
30問(150点満点) |
法規 |
12問(60点満点) |
30問(150点満点) |
合格点 |
無線工学 |
75点/120点(62.5%)
15問以上正解 |
105点/150点(70%)
21問以上正解 |
法規 |
40点/60点(66.6%)
8問以上正解 |
105点/120点(70%)
21以上正解 |
受験料 |
5,352円(税込) |
8,952円(税込) |
試験日:
1アマ、2アマは土曜日か日曜日ですが、一陸特は、必ずしも土日ではなく、今年度(平成27年度)の場合は、6月、10月は木曜日、2月が日曜日といった具合です。
プロの資格だからなのか、アマチュアのほうが受験しやすいようにと土日の「配慮」がされているのかもしれません。
余談1:
昔はアマチュア無線の国試は4月と10月の年2回で、試験日は平日でした。当局の電話級受験(1972年)は中学生でしたが、学校を休まなければいけない10月は断念して、春休み期間中の4月を待って受験しました。2アマ受験の時(1976年)は大学の授業をサボって受験したのを覚えています。その後、いつしかアマチュアの試験日は「配慮」されて土日になったのだと思います。
余談2:
一方で、CMで土日は都合が悪い方も多く、1アマ、2アマの受験に行けないという声も聞かれます。「配慮」ってなかなか難しいものですね。
試験時間:
9時30分からか、13時からのいずれかの試験時間が指定されます。(受験票にて)
試験時間は工学と法規を通しで3時間になります。(開始1時間後から回答用紙を提出して退室ができます。)
1アマは午前に法規、午後に工学(私が受験した頃は逆でしたが)で各2時間半で、途中に休憩ができてFBでした。一陸特のほうが少しヘビーです。(歳を重ねると、この差が効いてきます。Hi!)
当局は、結局、2時間奮闘して退室をしました。
問題数と合格点:
一陸特は一アマに比べて正解率が少なくてよいので、一見、一陸特のほうがゆるく見えますが、実感は逆でした。一アマは
30問中に
9問間違えても合格に対し、一陸特は工学は
24問中で9問、法規は12問中
4問しか間違えられないということで、一陸特の方が難しいとも言えます。
なお、一陸特の試験問題は4択か5択式です。
◆出題範囲:(1アマとの比較)
教本や過去問題で受験勉強をして、気付いたことです。
無線工学では;
周波数帯の出題比重:
一アマに比べて、SHF帯、マイクロ波の比重が多いです。過去問題では、例えば、
・(トランジスタの問題も出るが)マグネトロンや進行波管が出ることが多い。
・(八木アンテナやダイポールの問題も出るが)パラボラやホーンアンテナの問題が出ることが多い。
・(同軸ケーブルの問題も出るが)導波管が.多い。
といった具合です。
変調方式の出題比重:
多重通信・デジタルデータ通信について出題されます。
また、送受信機では(FM方式の出題もありますが)PCMやVASTの出題もある。
余談3:
一陸特の教本でCWレーダーという言葉が出てきました。てっきりモールス信号でレーダー通信をすることかと思いましたが・・・違いました。
CWレーダーとはレーダーを(パルスではなく)連続波=Continuous Wave=で送信する方式のことでした。
CWはContinuous Waveの略であることは知っていましたが、CW=モールスとストレートにイメージしてはいけないのですね。電信(通信方式)、CW(連続波)、A1(電波形式)の関係を理解した上で、CW(俗称)を使わねばと思った次第です。Hi!
法規では;
主任無線従事者:
無線設備の操作の監督をする「主任無線従事者」が新鮮に感じました。
「無線従事者とは、無線設備の操作又は
その監督を行うものであって、総務大臣の免許を受けたものをいう」(電波法2条)は、知っていても「その監督」はアマチュアではあまりなじみがありません。
もっとも、その監督もできるので陸上特殊無線技士を取得する意義があるのでして、本末転倒感が否めずでした。Hi!
余談4:
突然ですが、ここで問題です。
次の記述は、固定局の再免許申請の期間について述べたものである。無線局免許手続規則(第17条)の規定に照らし( )に入れるべき最も適切なものを選べ。
「固定局の再免許の申請は、免許の有効期間満了前( )を超えない期間において行わなければならない」
1. 3箇月以上6箇月
2. 1箇月以上3箇月
アマチュア局では固定局でも移動局でも再免許は1年前から1か月前までですので、答えの選択肢がありません。
しかし、それは「アマチュア局にあって」の特例でして、正解は1.の3箇月以上6箇月となります。
(アマチュア局用の電波法令集の当該条文にもそう明記されていました。)
このように、まれにアマチュア無線の経験上の知識が邪魔する問題もありましたので注意が必要です。
◆解答速報
受験後は、結果はどうだったか、やはり気になります。
一陸特の解答速報も一アマ同様に
QCQ企画とが、日本無線協会よりも先にアップされています。
今回(2016年2月期)の場合、試験日の翌日に
QCQ企画、翌々日には
日本無線協会に解答が公開されました。
自己採点をしましたところ、おかげさまで、一陸特の免許を頂けるようです。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
ご注意:以上は2016年2月度に私が受験した体験を基にしています。ルールやシステムが変更になっている事もありますので、その点をご注意いただき参考にしてください。
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